2008年04月14日
週刊きっこの目H
前回に引き続き、今回もテレビの話題からの導入でキョーシュクなんだけど、最近のテレビを観ていて思うのは、あまりにも多くの番組にゲイ能人が出演しているということだ。朝のワイドショー、お昼のバラエティー、午後のワイドショー、夜のバラエティーと、どんな時間帯にどこのチャンネルを観ても、必ずと言っていいほど、女装したオカマや、男性の姿のままだけどオバサンのような話し方をするホモが出演している。そして、さらには、そうしたゲイ能人たちを集めた「おネエMANS」という番組まで作られてしまい、何が何だか分からなくなって来た。
ちなみに、「オカマ」とか「ホモ」とかいう言葉は差別語なので、おすぎとピーコが、自分で自分のことを「あたしたちはオカマだから」というぶんには構わないけど、他人が言うと問題になる。だから、他人が言う場合には、「ゲイ」と言ったほうがいい。「ゲイ」という言葉は、「gay(陽気な)」が語源の「楽しい人たち」という意味なので、どこの国でも肯定的に使われているからだ。ただ、「ゲイ」と言った場合には、男性も女性も、すべてのパターンの同性愛者を総称してしまうので、こうした文章を書く場合には、分かりやすくするために、あたしは、あえて「オカマ」とか「ホモ」とかを使わせてもらっている。
あたしの場合は、自分の業界が男性も女性もゲイだらけなので、まったく特別視もしていないし、それぞれの人の性の方向性は、食べ物や洋服の好みと同じだとしか思っていないので、付き合う上ではまったく関係ない。それに、あたしの感覚では、ゲイのほうが、あらゆる面でセンスの良い人、才能のある人が多いと思っている。だから、偏見などはまったくないし、それどころか、ゲイの親友もたくさんいる。
で、最近のゲイ能人ブームの注目すべき点は、テレビに出て来るゲイたちが、タレントじゃないってことだ。芸能界というところは、もともとゲイが多い世界だけど、今までは、美輪明宏や美川憲一など、タレントだけがテレビに登場していた。でも、最近のブームでテレビに登場するようになったゲイたちは、ヘアメークアーティストだったり、スタイリストだったり、ダンスの振り付け師だったり、華道家だったり、料理研究家だったり、IT企業の社長だったりと、それぞれが仕事を持っている。つまり、ゲイであることを芸にできるタレントとは違って、今まではゲイであることを隠さなきゃならなかったような人たちが、今や堂々とテレビに出て来るような時代になったってことだ。
そして、テレビに出て来るようになったゲイたちにも、様々なタイプがいる。男性のゲイには、男性の姿のまま同性を愛する「ホモ」、女性の姿になって男性を愛する「オカマ」、性転換手術までしてしまう「ニューハーフ」、さらには、自分が女性に変身した上で女性を愛する「オカマのレズビアン」など、様々な形態がある。
そして、女性のゲイにも、女性の姿のまま同性を愛する「ビアン」、男性の姿になって女性を愛する「オナベ」などを始めとして、様々な形態がある。また、女性の姿のまま同性を愛する「ビアン」の中にも、男性役をする「タチ」と女性役をする「ネコ」とが明確に分かれていて、男女の恋愛を女性同士で行なうという一般的なパターンの他に、あくまでも女性同士として愛し合うパターンもあり、そのカテゴリーは無限に広がって行く‥‥ってことで、またまた長い前置きになっちゃったけど、今回の「週刊きっこの目」で、あたしが目をつけたニュースは、コレだ。
「性転換した男性が妊娠、人気TV番組に出演」(2008年4月5日)
ロイター通信によると、米オレゴン州で女性として生まれ、10年前に男性への性別適合手術を受けたトーマス・ビーティさん(34)が、3日放映された米人気トーク番組で、妊娠6カ月であることを明らかにした。ビーティさんは以前から子供を産みたいという願望があり、女性の生殖器を維持していた。精子バンクから精子を購入して妊娠したが、現在の担当医に受診を受け入れてもらうまで、多くの医師に断られたという。オレゴン州中部で自営業を営むビーティさんは法律上男性で、5年前に結婚した妻がおり、2人の結婚も合法。番組で「子供を持ちたいと思うのは男性でも女性でもなく、人間としての願望だ」と語った。(共同通信)
「週刊きっこの目」では、新聞を始めとした正規の報道機関が伝えたニュースをネタにして、それについてアレコレと掘り下げて行くというスタイルをとっているので、ネタである記事の内容について疑ったりすることはしないようにしている。あくまでも、記事に書かれていることを「真実」として、その上でいろいろな角度から分析したりツッコミを入れたりすることにしている。でも、今回のニュースは、このまま鵜呑みにしていいものか気になってしまった。
だって、法的に性別を変更できる効力を持った「性別適合手術」、つまり、「性転換手術」を受けて、女性から男性へと性別を変更した者が、妊娠できるということがおかしい。この記事の内容を信じれば、アメリカでは、妊娠する能力を備えた生物学上の「女性」が、法律上は「男性」になれてしまうということになる。この記事には、「ビーティさんは以前から子供を産みたいという願望があり、女性の生殖器を維持していた。」と書かれているけど、それでも法的に性別を変更できて、法的に女性と結婚できるなんて、あたしには理解できない。
性同一性障害の男性が、女性へと性別を変更したい場合には、専門医のカウンセリングを受けて、女性ホルモン剤の投与を続けて、性転換手術をする。手術では、男性器を取り除き、女性器を作る。つまり、男性としての生殖機能を失うことになる。決して、「将来は自分の子供が欲しいから」などと、男性器を残したまま女性器を作ることなどないし、そうした場合は、法的には男性のままで、戸籍上の性別を変更することはできない。
だから、あたしは、このニュースの内容には、どうしても納得できない。それで、原典のロイター通信の記事を見てみたら、もう少し詳しいことが書かれていた。その記事には、「ハワイ生まれのビーティーさんは、以前はトレーシー・ラゴンディノという名前の女性だったが、胸部の手術を受け、男性ホルモンの投与によって男性となっていた。」と書かれていた。それなら、アメリカでは、オッパイを取って男性ホルモンを投与するだけで、戸籍上の性別を変更できちゃうみたいで、あまりにもアバウトすぎると思った。
それから、奥さんのナンシーさんは女性なんだけど、何かの病気で子宮摘出手術を受けていて、妊娠することができなくて、そのために、ビーティーさんが代わりに妊娠することにしたって書かれていた。ただし、このテレビ番組が放送されたのが4月3日で、番組の告知をしたのが4月1日だったために、「エイプリルフールのいたずら」と見ている人たちもいるって書かれていた。
だから、真実はどうなのか分からないけど、もしもホントのことだとしたら、倫理的にはどうなんだろう?それに、長年ずっと男性ホルモンを投与し続けて来て、女性としての機能が著しく低下している人が、健康な赤ちゃんを産むことなどできるのだろうか? そして、無事に健康な赤ちゃんが生まれたとしても、その子が大きくなった時に、自分がお父さんから生まれたということを知らされたら、いったいどんな気持ちになるのだろうか?「どうしても自分の子供が欲しい」っていう気持ちは分からなくもないけど、なんだか自分の気持ちばかりで、生まれて来る子供の気持ちなんかぜんぜん考えてないようで、あたしはあまり賛同できない。
ま、倫理的なこととか、あたしの個人的な感想は置いといて、「週刊きっこの目」としては、この「性転換」というおかしな行為について掘り下げてみたいと思う。何で「おかしな行為」なのかと言えば、人間の行なっている性転換は、まったく性転換になっていないからだ。本来、性転換というものは、オスとメスとの生殖機能を転換させることであって、生殖機能の転換を伴わない人間の性転換手術は、単に「外見を異性に近づけるための手術」でしかないからだ。
オスとメスとに分かれている生物は、生殖する上でそれぞれに役割があって、メシベにオシベの花粉がくっついたり、卵子に精子がくっついたりして、次の命を作る。これが生殖であって、性転換というものは、この役割を転換させることを言う。だから、性が転換されない人間の性転換手術は、自分の外見を自分の理想の姿に近づけるための「大がかりな美容整形手術」であって、性転換には当たらない。
で、人間のように苦労をしなくても、簡単に性転換している動物はたくさんいる。特に多いのが魚で、約300種類もの魚が、状況に合わせて性転換を繰り返している。マハタやキュウセンのように、メスからオスへと性転換する魚もいれば、クロダイやコチのように、オスからメスへと性転換する魚もいるし、ダルマハゼやアカハラヤッコのように、オスとメスのどちらにも性転換できる魚もいる。たとえば、ダルマハゼのオスだけを何匹も水槽に入れておけば、そのうちの何匹かがメスへと性転換するし、メスだけを水槽に入れておけば、そのうちの何匹かがオスへと性転換して、子供を作るようになるのだ。
だけど、このように、環境によって自然に性転換するのは魚くらいまでで、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類などになると、自然に性転換することはない。でも、両生類や爬虫類は、受精した段階では性別が決まっていないので、オスのホルモンやメスのホルモンを投与することによって、人工的に性別を決めることができるそうだ。また、受精した段階から性別が決まっている鳥類の場合でも、成長の過程で人工的にホルモンを抑制することによって、メスのニワトリをオスに性転換させたりすることができるそうだ。
魚が自然に性転換する場合でも、両生類や鳥類を人工的に性転換させる場合でも、オスがメスへ、メスがオスへと、その生殖機能がチェンジするのだから、本当の意味での性転換と言える。そして、ホルモンの投与や抑制だけで、生殖機能までを簡単に転換させられる魚類、両生類、鳥類と違って、ホルモンの他に大がかりな外科手術まで行なっても、結局は「外見を異性に近づけるだけ」でしかない人間の性転換手術は、科学的な目から見れば、あまりにもレベルの低いものだと思う。生殖機能を転換させるどころか、本来の生殖機能までをも失ってしまうのだから、他の生物たちの「種族保存の本能による性転換」とは正反対に、動物の本能に逆行した行為だと思う。
だから、今回のビーティーさんのように、女性としての生殖機能を残したまま、外見だけ男性に転換する、ということは、倫理的には様々な意見があるだろうけど、動物の本能の部分では、極めて正しい選択なのかもしれないと思った。自分の理想と、動物としての本能とを両立させるには、こうした選択しかなかったのだろうと思う。
だけど、これだけ科学が進歩しても、本当の意味での性転換もできないなんて、あたしは、人間の化学もまだまだなんだと思った。それに比べて、人間以外の動物たちは、何の科学力も持たずに、自然の流れにまかせているだけなのに、人間の科学力を遥かに超えた進化を続けて来た。特に、魚たちは、環境に合わせて性転換するだけでなく、1匹の魚がオスとメスとの生殖機能を両方とも持っている「雌雄同体」の種族も存在しているのだ。
「雌雄同体」の魚は、温かい海に住むブラックハムレット、深海に住むミズウオなど、他にも何種類かいるんだけど、すべての個体がオスとメスの両方の生殖腺を持っていて、パートナーと交代で卵を産む。ようするに、子供を作る作業では、卵を産むほうのメスに大きな負担が掛かるから、それを交代で行なって、お互いの負担を軽減してるのだ。なんて美しい自然の摂理なんだろう。だから、妊娠した奥さんをホッタラカシにして、愛人のところに通ってるようなダンナには、ぜひ、ミズウオの爪のアカ‥‥じゃなくて、ミズウオの塩焼きでも食べさせてやって欲しい(笑)
そして、オスとメスの機能を備えたブラックハムレットやミズウオよりも、さらに先を行っているのが、メダカの仲間の「マングローブ・キリフィッシュ」という魚だ。あたしは、自分でもクロメダカを飼っていて、メダカに関してはそれなりに詳しいほうだと思うのだけど、あまりマニアックにならない程度に説明すると、ものすごく種類の多いメダカは、大きく分けて、卵を産む「卵性メダカ」と、お腹の中で卵を孵化させてから稚魚を産む「卵胎生メダカ」に分けられる。たとえば、熱帯魚として有名なグッピーは、稚魚を産むから「卵胎生メダカ」ってことになる。正確には、グッピーなどの卵胎生メダカが「カダヤシ目」なのに対して、日本のメダカは「ダツ目」なので、分類上は違って来るんだけど、一般的には、みんな「メダカの仲間」ってことにしちゃってる。
そして、この大きな2つのグループの「卵性メダカ」のほうは、さらに、1年以内の寿命しか持たない「年魚」と、数年間生きる「非年魚」とに分けられている。これは、どういうことなのかって言うと、1年中ずっと水がある地域に住んでるメダカたちは、2年、3年と長く生きることができるけど、雨期と乾期がある地域に住んでるメダカたちは、1年以上は生きることができないからだ。
雨期と乾期がある地域に住んでるメダカたちは、水のある雨期のうちに成長して、乾期の訪れとともに、水底の泥の中に卵を産む。そして、乾期になり、池は干上がって、親たちはみんな死んでしまうけど、土の中の卵は、わずかな水分を頼りに生き延びて、次の雨期の到来とともに、いっせいに孵化するのだ。だから、卵性メダカの中の「年魚」の卵は、何ヶ月間も保存しておくことができるため、「メダカの缶詰」としても売られている。缶詰を開けて、中の卵を水槽に入れると、メダカが孵化するというものだ。
で、ようやく、「マングローブ・キリフィッシュ」の話に入るけど、このメダカは、名前からも分かるように、フロリダから南米にかけてのマングローブの生えている地域に生息している。マングローブというのは、1つの木の名前じゃなくて、熱帯から亜熱帯の汽水域に生えている木の総称だ。つまり、このメダカは、汽水域に生息してるということで、海水でも淡水でも生活できるということだ。これだけでも、海水でしか生きられない魚や、淡水でしか生きられない魚よりは、生存率や種族保存率は高くなる。
そして、このメダカは、ブラックハムレットやミズウオのように、1つの個体の中にオスとメス両方の生殖腺を持っているんだけど、ここからがすごいのだ。オスとメス両方の生殖腺を持っている魚たちは、オスの役割をしたり、メスの役割をしたりと、どちらかの役割しかすることができない。だから、子供を作るためには、パートナーが必要になる。だけど、このメダカは、同時に両方の役割をすることができるのだ。つまり、パートナーなしに、自分1匹だけで、自分の卵子に自分の精子を受精させて、卵を産んじゃうのだ。
これぞ、究極の種族保存のスタイルだ!‥‥って言っても、ホントの究極は、アメーバみたいな細胞分裂だろうけど、とりあえず、魚の中どころか、脊椎動物の中で、このように自分だけで子供を作っちゃうのは、この「マングローブ・キリフィッシュ」だけなのだ。
1つの個体の中に、オスとメス両方の生殖腺を持っている「雌雄同体」の動物は、ミミズ、ナメクジ、カタツムリ、ウミウシ、フジツボ、ホヤなど、いろいろな種類がいるけど、そのほとんどは、パートナーがいないと子供を作ることができない。だから、ミミズ、ナメクジ、カタツムリ、ウミウシ、フジツボなどは、みんな交尾して卵を産む。つまり、オスとメス両方の生殖腺を持っていても、自分だけでは子供を作ることはできないってことだ。
ホヤの場合は、海中へ精子を放出して、その精子が別のメス役のホヤの卵子に受精するんだけど、自分の卵子は自身の精子に受精しないようになっている。自分の放出した精子が自分の卵子に付着しても、自己認識機能が働いて受精しないのだ。だから、最低でも2つ以上の個体がいないと、種族を保存することができないのだ。だけど、貝の仲間の中には、こうした自己認識機能がなくて、自分の放出した精子で、自分の卵子が受精しちゃうものもある。そして、通常はパートナーがいないと受精できないカタツムリの中にも、状況の変化とかで、自己受精をしちゃうものもある。
だけど、これらの環形動物や軟体動物などと比べると、遥かに複雑な構造を持っている脊椎動物になると、「雌雄同体」っていうだけでも特殊で、それがさらに自分だけで自己受精して卵を産むというのは、古今東西たくさんの脊椎動物がいる中で、この「マングローブ・キリフィッシュ」だけなのだ。だから、種族保存こそが生物の最優先すべき生存理由だと考えた場合には、地球上のすべての脊椎動物の中で、わずか数センチほどのこのメダカが、もっとも進化した動物だっていうことになる。
「マングローブ・キリフィッシュ」は、海水でも淡水でも生息することができる上に、ある程度の時間なら、空気中に出ることもできる。だから、水から出て、マングローブの木に登ったりもする。見た目は、メダカというよりもハゼに似ているので、ムツゴロウやトビハゼのように、胸ビレで歩くことができるのだと思う。そして、空気中に出ることができるので、濡らした新聞紙でくるんでおけば、長い時間、生きているのだ。その上、自分だけで卵を産むことができるのだから、水陸両用の単独産卵ということで、ある意味、究極の魚と言えるだろう。
あたしは、性同一性障害の人の気持ちは分からないけど、男性から女性になることを望んでいる人の多くは、外見だけが女性になりたいのではなくて、生殖的にも女性に転換して、妊娠して子供を産みたいのではないかと思っている。もしもそうであれば、今後、もっと科学や医学が進歩したら、女性から男性になることを望んでいる人の子宮を男性から女性になることを望んでいる人へと移植するような手術が行われるようになったり、さらに進歩すれば、双方の脳みそを入れ替えるような手術も行われるようになるかもしれないと思っている。
そして、人間の欲望は果てしないから、誰でもが自分の望む性で生きて行くことができる時代になれば、今度は、「男性と女性の両方の性を持ちたい」という、新種の性同一性障害の人が現れて来るかもしれないし、それに対応した治療が行われるようになるかもしれないと思っている。何しろ、人間よりも進化している魚が、すでに両性を備えて、自分だけで子孫を繁栄し始めているのだから、あとをついて行く人間が、いずれは同じ水準に到達することも十分に予想できるからだ。男性なのか女性なのか判別できないような人たちが、当り前のようにテレビに出ている今の状況は、そうした流れの始まりなのかもしれない‥‥ってことで、種族保存の本能に従って、男性の姿になっても妊娠することを選択したビーティーさんに代わって、1句詠んで終わりにしようと思う。
- 淡月やパパから生まれたボクは誰 きっこ
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